北ア表銀座 赤岩岳(2768.7m)、西岳(2758m) 2011年10月11日

所要時間
10/8
 6:19 上高地−−7:05 明神−−7:47 徳沢 7:54−−8:45 横尾(休憩) 9:02−−10:13 槍沢ロッジ(休憩) 10:30−−10:58 ババ平 11:01−−11:22 水俣乗越分岐(大曲)−−11:50 標高2250m付近で休憩 12:15−−12:39 水俣乗越 12:43−−13:30 標高1930m(幕営)

10/9
 6:16 標高1930m−−6:31 北鎌沢出会−−8:02 北鎌コル−−8:38 P8−−8:42 P9−−9:26 ルートを外れ独標に向かう−−9:40 北鎌独標(休憩) 10:13−−11:13 P9−−11:21 P8−−11:32 標高2600m付近で休憩 12:00−−12:26 北鎌コル−−13:20 北鎌沢出会−−13:41 標高1930m(幕営)

10/10
 4:37 標高1930m−−6:12 水俣乗越(休憩) 6:31−−7:12 西岳ヒュッテ−−7:30 休憩 8:02−−8:07 登山道を離れる−−8:12 稜線−−8:20 赤岩岳 8:24−−8:28 登山道−−8:48 西岳分岐−−8:48 西岳 9:00−−9:39 水俣乗越(休憩) 10:07−−10:30 水俣乗越分岐(大曲)−−10:47 ババ平(休憩) 11:25−−11:43 槍沢ロッジ−−12:45 横尾(休憩) 13:24−−14:11 徳沢(休憩) 14:39−−15:20 明神−−16:03 上高地

概要
 水俣乗越から赤岩岳を往復。おまけで西岳往復。すれ違った登山者の中に赤岩岳をついさっき登ってきた男性がいてびっくり。今回はGPSをザックと一緒にデポしてきたため取り付き位置を間違えて一つ手前のピークに出てしまい、稜線上の冬道を北上して赤岩岳山頂へ。帰りはザレた急斜面をズリ落ちながら下った

北鎌独標から見た赤岩岳
ルート図。クリックで等倍表示


北ア槍穂 北鎌独標(2899m)から続く


 翌朝、まだ暗い時間に出発。最初はのんびり上高地に下ろうかと思ったが、せっかくここまで来たので登りにくい所に足を延ばしておこうと考え、赤岩岳と西岳を目指すことにした。特に赤岩岳はその昔、まだGPSが無かった頃に登った時に本当の山頂か自信がなかったことも大きな理由だ。今回は時間的余裕があるので時間をかけて三角点を探すこともできるだろう。槍ヶ岳に登ることも考えたが、これは新穂高からも登れるのでまた別の機会にした。

 真っ暗な中を沢を遡上するのはリスクがある。歩くこと自体に危険は無いが、問題は沢の分岐があるということだ。尾根だったら登りは尾根が合流するので間違うことはないが、沢の場合は逆に登りで分散するためルートミスしやすい。日中なら水俣乗越が見えるので間違うことはないが、周囲が見えないと枝沢に入っても気付かない可能性が高い。僅かに存在するケルンと、砂地の足跡が頼りになろう。

テントを畳み終わって出発 暗闇にはケルンが大いに役立った

 この日は朝の冷え込みが弱く、河原の石に霜が降りることはなく助かった。基本的には本流を遡るのだが、微妙に沢が分岐している個所もあって神経を使う。実は分かれているけど先で合流しているのかもしれないが、いかんせん広い範囲の視界はないので判断できない。たまに出てくるケルンに助けられたこともあったし、砂地の足跡でルートが正しいことを確認したことも数多かった。周囲が薄明るくなればもう迷う心配は無かった。

少し明るくなってきた(露出時間は約3秒) 天上沢源頭を横断。流れは完全に凍結
道は右岸に移る ちょっとだけ灌木がある
明瞭な道を登る 水俣乗越

 斜面が立ちあがって天上沢源頭を横断して右岸を登るようになる個所では、流れは完全に凍っていた。水流は少なかったからなぁ。大ザックの荷物は多少減ったとはいえまだ重く、傾斜がきつい登りは足に堪える。最後はジグザグに登って水俣乗越に到着、南向きの冷たい風が強く、北側に下がったところで少しだけ休憩。ここで大ザックをデポしてアタックザックで赤岩岳を往復する。北側に下がった場所にザックを置き、防寒具をたっぷり持って出発する。今日はほとんど登山道を歩くので昨日と違って危険個所はなく緊張感はない。

赤岩岳へと向かう 東鎌尾根は岩っぽいが危険個所は無い
2540m峰へ登る
2540m峰から見た槍ヶ岳
2540m峰から見た南アルプス

 東鎌尾根を歩くのは初めてだが一般登山道なので道は明瞭、間違いようがない。梯子を交えて尾根を登り、ピークを越えるといったん下る。このピークから北鎌尾根が良く見えた。少し雲が多くてバックが青空ではないのがちょっと残念だ。鞍部に下って西岳の登りにかかると西岳方向から下ってくる登山者とすれ違うようになる。みんな寒さ対策で厚着しているが、こちらは登りにかかって体温が上昇し、Tシャツに腕カバーの軽装だ。ただし、マフラーと毛糸の帽子で首より上の保温は確保する。そうしないと偏頭痛の発作が出る可能性があるのだった。

2480m鞍部へと下る 西岳への登り
梯子その1 梯子その2
槍穂の展望
槍が近い なおも登る
傾斜が緩む ヒュッテ西岳

 僅かに雪が残る個所があるが特に問題なく、鎖を使うことはなかったが梯子は素直にお世話になった。やっと傾斜が緩むとヒュッテ西岳前に到着、ここから赤沢山往復したのは何年前だったか。今回はパスしておく。

西岳山頂方向 登山道は南斜面を巻いて風を避けられた
ヒュッテ西岳と赤沢山 赤岩岳方面。まだ山頂は見えない

 ヒュッテを素通りして大天井岳方面に続く登山道を進む。傾斜が無くなって体の発熱量が減るが、登山道は稜線から南に外れるようになり風を避けられるので暖かい。ただし、たまに稜線に這い上がると風が吹き抜けて寒い。前方にはいくつかのピーク群が見えているがどれが赤岩岳山頂なのかよくわからない。まあ、最悪全部登ればいいけど。手持ちの地図は5万図のエアリアマップなので細かい地形を読むのは不可能だ。

 一度上がった稜線からまた南の巻き道に入り、そろそろ赤岩岳が近づいたところで単独男性とすれ違いしばし話をした。この男性は日本百高山を目指しているとのことで、赤岩岳もそれに入っているのでさっき登ってきたとのこと。今はスマホにGPSナビソフトを入れて地図表示可能なハンディーGPSと同じことができるそうで、この人は山でスマホを使っているとのことだった。ただ、電話機能OFFでもGPSを入れっぱなしだと電池が10時間弱しか持たないとのことで、USB経由で充電用にニッケル水素電池×4本も持っているとのことだった。時代は変わったなぁ。今回は北鎌独標の正確な山頂位置確認用にGPSを持ってきたが、赤岩岳は三角点で確認できるので大ザックと一緒にデポしてきたため、GPSを見せることはできなかった。男性は本来は槍を目指す計画だったらしいが、疲れたとのことで上高地に下るかなぁと話していた。

 長話になってしまったが、こちらは上高地のシャトルバスの最終便はPM5時くらい、もしそれを過ぎても新島々への路線バスはもっと遅くまであるので時間的余裕はあり問題なし。立ちあがって出発進行、尾根への取り付き点を探しながら歩いていく。尾根が張り出して登山道が大きく左に回り込んだ先で、傾斜はきついが草付きが上部まで延びているところがあり、ハイマツは最短で稜線に出られそうなので、そこから取り付くことにした。夏だと登山者が多くて登山道を外れて歩くのははばかられるが、今は3連休とは言え冬間近の時期で縦走者は少なく、目撃される心配は低い。

長話した男性 ここから稜線に登る。かなりの急斜面
ハイマツ藪に突入 稜線に出て西側を見る。偽ピーク
こっちが赤岩岳山頂

 かなりの傾斜の草付き斜面を斜上する。足場を選ばないと滑り落ちそうだ。岩があった方が足の引っ掛かりがあってかえって歩きやすかった。短い距離だが息が上がる。そしていよいよハイマツ藪に突入。ここでは背丈と同程度でまだマシな状況だ。枝を腕でかきわけることも可能で、高さ2,3mの立ったハイマツよりずいぶんマシだった。少し登るとハイマツの背丈が急激に低くなって歩きやすくなり、すぐに稜線に飛び出した。前回登った時にも稜線上に踏跡があったが、その時は昔の廃道だろうと考えたが、たぶん実際は冬ルートだろう。そこそこ明瞭でハイマツの中にも踏跡が続いていた。三角点がないか周囲を探索したが発見できず。稜線上には大天井岳方面と西岳方面の両方にピークがあるが、エアリアマップを見た感じでは一連のピーク群の北端が山頂のように見えるので、大天井岳方面の岩っぽいピークに向かうことにした。

稜線上を本物山頂へ向かう。冬道あり 踏跡は岩峰へ登る
岩峰てっぺんには上らず東側にルートあり 岩峰の下りは右(東)を巻く

 このピークとの間には鞍部があり、ピーク手前には切り立った岩場があって稜線通しで登れるのか不安があったが、冬道を辿ればあそこに立てるだろう。鞍部へはハイマツの間の踏跡を辿り、その後は天上沢側のハイマツが切れた尾根を進む。鞍部から登りにかかると冬道の砂礫部分に足跡が残っており、先ほどの男性のものに違いなかった。ピーク手前の岩峰は右から登ることが可能であったが、その先の小鞍部が切れ落ちており直進不可能。しかし稜線右側(東側)に狭い棚があって踏跡があり、そこを伝わって迂回した。ここにはフィックスロープがあったくらいなので、そこそこ登る人がいるらしい。

赤岩岳山頂 赤岩岳から見た立山、剣
赤岩岳から見た槍穂(クリックで拡大)
赤岩岳から見た大天井岳
赤岩岳から見た北鎌尾根(クリックで拡大)
赤岩岳から見た後立山

 岩峰を巻き終わった先のなだらかだが狭いピークに三角点が立っており、赤岩岳山頂に到着。前回登った時には三角点は見当たらなかったし、こんな岩峰を通過した記憶もないので偽ピークに登ってしまったらしい。ハイマツと矮小なダケカンバだけであり、西側半分はガレで立ち木皆無で展望良好。眼下には早朝まで滞在していた天上沢。ここも天上沢ももう来ることはないかなぁ。正確な山頂に立つことができて大満足で山頂を後にした。

南の岩峰は東を迂回 迂回終了間近。稜線に登る
南側鞍部へ下る 鞍部から東の草付きへ下る
ガレ混じりの斜面を下って登山道へ 登山道から下ってきた斜面を見上げる

  下りのルートは鞍部から東の草付き斜面を下って登山道に出た。ここはガレも混じって滑りやすく、ハイマツとの境界付近を下った。ここならハイマツ藪を突っ切る必要はなく、最短距離で山頂に立てる。

稜線から見た中山 稜線から見た北鎌沢右俣
ヒュッテ西岳が見えてきた 西岳分岐
山頂まで低いハイマツが続く 西岳山頂
西岳から見た赤岩岳方面 西岳から見た高瀬湖
西岳から見た穂高
西岳から見た槍穂と北鎌尾根(クリックで拡大)

 登山道に出たらひたすら逆戻りで、西岳分岐で西岳山頂を目指す。ここもずいぶん前に登っただけだし、登山道から僅かしか離れていないのでおまけである。山頂まで立派な道があるのでここはハイマツと格闘する必要はなく、難なく山頂に立つことができた。ここも森林限界を超えているので360度の大展望だ。やっぱり目の前の槍が一番目立つ。

正面に槍を見ながら下る 梯子
2480m鞍部 2540m峰へ登る
水俣乗越へ下る 水俣乗越

 登山道に戻って水俣乗越を目指す。鞍部から登りにかかると赤岩岳手前で長話した男性と遭遇、かなりスローペースでお疲れの模様だ。追い越して先に水俣乗越に到着し、腹が減ったので休憩。男性も到着して休憩。他にも西岳方面から2人ほど単独男性がやってきて休憩。2人は槍を目指すとのこと。お疲れ気味の男性は上高地に下るとのことだった。

水俣乗越から槍沢の下り 槍沢に出た
水俣乗越方面を振り返る 槍沢沿いの登山道で登山者が増える

 4人ほぼ同時に出発、私と男性1名は槍沢を目指して急な登山道を下っていくが、私の方がずっと重い荷物を背負っているにもかかわらず男性は徐々に離されていく。この状況だと確かに槍は厳しかったかもしれない。槍沢沿いの登山道に出ると登山者の姿がちらほら見られるが、やはり初日と比較すれば少ないように思われた。

ババ平 カブト岩

 時間的に休憩には早いがババ平でテント虫干しのため休憩。幕営しないのに横尾や徳沢でテントを広げるのもちょっとと考えたからだ。ここなら気兼ねなく店を広げられる。テントが乾くまでの間についでにシュラフも虫干し。最後まで乾かないのは皮肉なことにフライで、テント本体は意外に乾燥が早い。虫干し中に先ほどの男性が到着、しばし休憩して私より先に出発していった。フライが乾いたことを確認してこちらもパッキングし直して出発した。

槍沢ロッジ 槍沢沿いを進む
横尾 涸沢方面への橋。すっかり静か
徳沢 徳沢トイレ前
明神 河童橋

 今日は3連休最終日で上高地バスターミナルも下手な時間に行くと大混雑だと考えて、暗くならない程度で少し遅い時間にシフトしようと、この後も横尾、徳沢で休憩。両テント場にはまだテントがあり、明日もお休みの人が少なくないようだ(私もそうだけど)。明神を越えると徐々に人が増えてきて、河童橋に至って都会並みの人出となった。さて、バス停の列はどれほどかなと考えつつバスターミナルに到着すると、沢渡行きは拍子抜けするほど少なく、たぶん100人弱か。というのも団体客は別の個所に並んでおり、シャトルバスよりも優先的にバスに乗せて、空いた席に個人利用客を乗せるような優先順位で捌いていたのだ。大半の観光客は団体客なのでシャトルバスの列が少ないはずだ。しかも、今日は一般観光バスの乗り入れ規制日なので、釜トンネル間の渋滞も皆無で次から次へとバスがやってきて効率的に帰り客の輸送ができていた。やっぱバス規制は効果絶大だ。その昔、上高地から脱出するのに5時間近くかかったが、今回は待ち時間15分。連休でこれだから、今は週末でも大渋滞はないと思う。

上高地バスターミナル 沢渡駐車場

 沢渡駐車場に戻ると半分以上の車は無くなっていた。トイレで用を足して竜島温泉へと向かった。

 

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